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3単語タイトルの本はかっこいい

3単語タイトルの本はかっこいい。僕が思いつくのはエイヤー『真理・意味・言語』とか、ノージックアナーキー・国家・ユートピア』とか、キットラー『フィルム・グラムフォン・タイプライター』とか、竹内外史『層・圏・トポス』とか
 
同じようなことを考える人は結構多いみたいで、ググったらこういうまとめが出てきた。このタイプのタイトルはオスカー・ワイルドの"Pen, Pencil and Poison"がはじまりではないかという人がいるけれど真偽は不明
 3つ単語を並べるにも、『A・B・C』『A、B、C』『AとBとC』という表記の揺れがあるけど、翻訳する際に規則とかあるのかな?とつぶやいたらS氏(名前だしていいなら書きます)が、結城浩『数学文章作法 基礎編』にこういう記述があることを教えてくれた。

 列挙の順序を入れ替えてもかまわないときには,列挙の区切りにナカグロ(・)を使います.順序を入れ替えないときには,読点(、)やカンマ(,)を使います. 

  ○信号は青,黄,赤の順に点灯する.

  ×信号は青・黄・赤の順に点灯する.

 上の例では点灯する順序を述べていますので,ナカグロを使ってはいけません.もしも「信号には青・黄・赤の三色がある」なら,順序を入れ替えてもいいのでナカグロを使ってもかまいません.*1

そんな規則があるんですね。ちなみに"A, B and C"と"A, B, and C"2種類の表記があるけれど、andの前にcommaを入れる方の表記をOxford commaとかserial commaと呼びます。何故そんな区別があるのかというと、最後のandが同じ並列を表すものなのか、ひとつのものを表すのかわかりにくい場合があるからです。僕の説明を読むより下の画像(2番目の)をみる方がきっと早い。英語圏ではよく論争になる話題だそうです。

f:id:logiko:20150915010151p:plain

画像検索すれば出てくるけど、これが一番分かりやすいと思う*2

f:id:logiko:20150915010502j:plain

以下に僕が知っているものと、友人に教えてもらったもの、調べた限り出てきたもののうち、邦訳で3単語書名になっている本をいくつかのパターンにわけて列挙しました。見やすさのために、副題などがあっても削ってます。日本語で原作が書かれて翻訳されたものも混じってます。

"A, B and C" を「A・B・C」と訳すパターン
リチャードローティ『偶然性・アイロニー・連帯』(Contigency, Irony and Solidarity)
ジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』(Guns, Germs And Steel)
ヒラリー・パットナム『理性・真理・歴史』("Reason, Truth and History")
C.W.ツェーラム『神・墓・学者』(“Götter, Gräber und Gelehrte”)
シュンペーター『資本主義・社会主義・民主主義』("Capitalism, Socialism and Democracy")
ロッド・サーリング『魔女・魔道士・魔狼』("Witches, Warlocks and Werewolves")
バイザー『啓蒙・革命・ロマン主義』("Enlightenment, Revolution and Romanticism")
レヴィナス『神・死・時間』("Dieu, la mort et le temps")
P・グランスドルフ『構造・安定性・ゆらぎ』("Structure, Stability and Fluctuations")
 
"A, B, and C"を「A・B・C」と訳すパターン
エンゲルス『家族・私有財産・国家の起源』(“Der Ursprung der Familie, des Privateigenthums und des Staats”)
ロバート・ノージックアナーキー・国家・ユートピア』(“Anarchy, State, and Utopia”)
N.グッドマン『事実・虚構・予言』(Fact, Fiction, and Forecast)
オリバーハート『企業・契約・金融構造』(“Firms, Contracts, and Financial Structure”)
AJエイヤー『言語・真理・論理』(“Language, Truth, and Logic”)
ジョセフ・ギース『大聖堂・製鉄・水車』("Cathedral, Forge, and Waterwheel")
ドナルド・デイヴィドソン『真理・言語・歴史』(“Truth, Language, and History”)
ポーコック『徳・商業・歴史』("Virtue, Commerce, and History")
ヒラリー・パットナム『身体・心・世界』("Mind, Body, and World")
チャールズ・パース『偶然・愛・論理』("Chance, Love, and Logic")
ベンジャミン・ウォーフ『言語・思考・現実』("Language, Thought, and Reality")
シオドア・スタージョン『[ウィジェット]と[ワジェット]とボフ』("The <Widget>, the <Wadget>, and Boff")
ポメランツ『中国、ヨーロッパ、そして近代世界経済の形成』("China, Europe, and the Making of the Modern World Economy")
アイスラー『聖なる快楽―性、神話、身体の政治』("Sacred Pleasure: Sex, Myth, and the Politics of the Body")
G・H・ミード『精神・自我・社会』(Mind, Self, and Society)
マルクス・ガブリエル『神話・狂気・哄笑』(Mythology, Madness, and Laughter)

"A, B, C"を「A・B・C」と訳すパターン
キットラー『フィルム・グラムフォン・タイプライター』(“Gramophone, Film, Typewriter”)
ポール・リクール『記憶・歴史・忘却』(“La mémoire, l'histoire, l'oubli”)
ロマン・ヤコブソン『言語芸術・言語記号・言語の時間』(Verbal Art, Verbal Sign, Verbal Time)
カルロ・ギンズブルグ『神話・寓意・徴候』(“Miti, emblemi, spie”)
カルロ・ギンズブルグ『歴史・レトリック・立証』(“Stria, retorica,prova”)
柄谷行人『言語・数・貨幣』("Language, Number, Money")
トリン・T.ミンハ『女性・ネイティヴ・他者』(“Woman, Native, Other”)
ルドルフ・シュタイナー人智学・神智学・霊知学』("Anthroposophic, Psychosophic, Pneumatosophie")
ヘルマン・ワイル『空間・時間・物質』("Raum, Zeit, Materie")
A.A. ロング『ストア派エピクロス派、懐疑派』("Stoics, Epicureans, Sceptics")
マラブー『可塑性・時間性・弁証法』("Plasticité, temporalité, dialectique")
バトラー、ラクラウ、ジジェク『偶発性・ヘゲモニー・普遍性』("Contingency, Hegemony, Universality")
デイヴィッド・ウィギンズ『ニーズ・価値・真理』("Needs, Values, Truth")
 
「A・B・C」番外編
森博嗣『夢・出会い・魔性』(“You May Die in My Show”)
 
"A B C"を「A・B・C」と訳すパターン
レイ・ブラッドベリ「イカロス・モンゴルフェ・ライト」(“Icarus Montgolfier Wright”)
チャイナ・ミエヴィル『ペルディード・ストリート・ステーション』("Perdido Street Station.")
トム・リーミイ『サンディエゴ・ライトフット・スー』("San Diego Lightfoot Sue")
ハイリ・ハリスン『ステンレス・スチール・ラット』("The Stainless Steel Rat")
マイクル・カンデル『キャプテン・ジャック・ゾディアック』("Captain Jack Zodiac")
ライク・E・スプアー『グランド・セントラル・アリーナ』("Grand Central Arena")
仏語版は"Danse, danse, danse"なんですね
 
"A, B, C"を「A、B、C」と訳すパターン
ドナルド・デイヴィドソン『主観的、間主観的、客観的』(“Subjective, Intersubjective, Objective”)
エリザベス・ギルバート『食べて、祈って、恋をして』(“Eat Pray Love”)
ダグラス・ホフスタッター『ゲーデルエッシャー、バッハ』("Gödel, Escher, Bach")
アドリエンヌ リッチ『嘘、秘密、沈黙。』(“On lies, secrets, and silence”)
ジークフリード・ギーディオン『空間、時間、建築』(“Space, Time and Architecture”)
 
「A、B、C」番外
シオドア・スタージョン『影よ、影よ、影の国』("Shadow, Shadow on the Wall")
原題は三単語タイトルではないけど、名訳では
茅原実里「雪、無音、窓辺にて」("Snow, Silence, By the Window")
At the window sideという訳も見つけた。
 
「AとBとC」と訳すパターン
ヴェルナー・ゾンバルト『恋愛と贅沢と資本主義』(“Liebe, Luxus und Kapitalismus”)
ジョージ・マイアソン『ハイデガーハーバーマスと携帯電話』("Heidegger, Habermas and the Mobile Phone")
マリオプラーツ『肉体と死と悪魔』(“The Romantic Agony”)
これは副題がロマンティックアゴニーになっています。タイトルは翻訳者がつけたのかな
 
番外
ロジャー・ゼラズニイ『アイ・オブ・キャット』("EYE OF CAT")
ジャック・デリダ「署名 出来事 コンテクスト」("Signature événement contexte")
スタンレー・J ・ダンバイア『呪術・科学・宗教―人類学における「普遍」と「相対」』(Magic, Science and Religion and the Scope of Rationality)

よくわからなかったもの
F.A.ハイエク『市場・知識・自由』(“The Use of Knowledge in Society”)
F.A.ハイエク『自然・人類・文明』
デイヴィド・ヒューム『奇蹟論・迷信論・自殺論』
ガダマー『哲学・芸術・言語』
これは日本の編者がつけた名前っぽい?
 
全然関係ないパターン
アルフレッド・ベスター『ピー・アイ・マン』("The Darkside of the Earth")
ジョージ・レイコフ『認知意味論』("Women, Fire, and Dangerous Things")
 
ちなみに海外で凄い人気を誇る(らしい)バカテスも3単語タイトルだけどこう訳されていた。
井上堅二バカとテストと召喚獣』(“Baka and Test: Summon the Beasts”)
 
以下は日本人の書いたもの一覧です。この記事に載っていない訳書のタイトルを知っているという方はコメント欄に書くか、(http://twitter.com/logical_logiko)にリプライでタイトルを投げつけてください。ぶしつけだとは思わないので。
 
竹内外史『層・圏・トポス』*3
網野善彦『米・百姓・天皇
加藤周一『歴史・科学・現代』
坂本多加雄『市場・道徳・秩序』
廣松渉『もの・こと・ことば』
佐藤俊樹『近代・組織・資本主義』
服部英雄『河原ノ者・非人・秀吉』
波頭亮『思考・論理・分析」
出口顯『言語・権力・主体』
三島憲一『破壊・収集・記憶』
村上隆夫『ポー・パース・ハイデッガー
市川忠男『シャノン・ノイマン・ディジタル世界』
古井貞隆『微分積分学線形代数学・確率と統計』
小林道夫『自然学・形而上学・道徳論』
斎藤慶典『現象学生命科学、そして形而上学
植村邦彦『市民社会・世界史・ナショナリズム
坂本達哉『勤労・知識・自由』
岡田温司『静止・運動・時間』
佐野誠『法・国家・ユダヤ人』
塩野谷祐一『芸術・倫理・歴史』
東浩紀『ルソー、フロイト、グーグル』
福岡安都子『国家・教会・自由』
石川健治『学問/政治/憲法
天藤真『あたしと真夏とスパイ
森博嗣『ゾラ・一撃・さようなら』
坂本達哉・長尾伸一『徳・商業・文明社会』
和仁陽『教会・公法学・国家』
佐々木毅『主権・抵抗権・寛容』
中山可穂サイゴン・タンゴ・カフェ』
佐々木中フーコーラカン・ルシャンドル
山田昌男『歴史・祝祭・神話』
川野洋『芸術・記号・情報』
宮川淳『鏡・空間・イマージュ』
学研『鉱物・岩石・化石』
森島守人『陰謀・暗殺・軍刀
網野善彦『無縁・公界・楽』
細川亮一『論理・独我論・倫理』
森島守人『真珠湾リスボン・東京』
中井久夫『徴候・記憶・外傷』
人見 順士『切腹・男・肚』
柄谷行人『言語・数・貨幣』
有馬哲夫『原発・正力・CIA』
タカハシマコ『乙女座・スピカ・真珠星』
木村敏『自己・あいだ・時間』
細川亮一『意味・真理・場所』
八木沢敬『意味・真理・存在』
三浦展『郊外・原発・家族』
蓮實重彦フーコードゥルーズデリダ
江原由美子『性・暴力・ネーション』
森博嗣『夢・出会い・魔性』
丸山圭三郎『言葉・狂気・エロス』
宮台真司『日常・共同体・アイロニー
西村貞二『ヴェーバー、トレルチ、マイネッケ』
黒川 信重『オイラー、リーマン、ラマヌジャン
斎藤慶典『知ること、黙すること、遣り過ごすこと』
市川慎一『ヴォルテール、ディドロ、ルソー』
小池定路『父とヒゲゴリラと私』
清水義範『ダムとカンナとシンシロシテン』
中島敦『光と風と夢』
乙一『夏と花火と私の死体』
山野浩一『花と機械とゲシタルト』
舞城王太郎『土か煙か食い物』
新城カズマ『サマー/タイム/トラベラー

*1:結城浩『数学文章作法 基礎編』p.34

*2:memeなのでオリジナルのリンクを貼れなかった

*3:http://togetter.com/li/127398